人間関係に困ったら『論語』を読む
「西の聖書、東の論語」といわれる
ように、東洋では古くから基本的な
教養書とされ、日本でも、古くは
国づくりの祖ともいえる聖徳太子や
250年以上続く泰平の江戸時代を
築いた徳川家康、日本近代化の
転換期に活躍した坂本龍馬や
吉田松陰など、国を変えていった偉人
たちがバイブルとしていました。
時代を動かしたリーダーも、『論語』
の孔子自身も、私たちと同じように
人間関係の小さな悩みをたくさん
抱えていました。
如之何(いかん)、如之何と曰わざる
者は、吾(わ)れ如之何ともすること
末(な)きのみ」
(衛霊公第15-16)
「どうしようと言わない人は、
どうしようもないねぇ」。
こんな孔子のぼやきが聞こえてくる
ようです。
業務やプロジェクトが行き詰まり、
困った状況になっても、
「どうしたらいいですか?」とも
聞いてこない部下や後輩がいるかも
しれません。
孔子も同じようなことで悩んで
いました。
さらに孔子は、
「憤(ふん)せずんば啓(けい)
せず。悱(ひ)せずんば発せず」
(述而第7-8)
とも言っています。
これは、「やる気がないなら、
教える気にはならないぞ」という
意味です。
教える側にだって、モチベーション
があります。
孔子の時代にも、「指示待ち人間」
がいて、頭を悩ませていたの
でしょう。
「人を責める自分はどうなのか?」
を振り返ると
「不賢を見ては内に自ら省みる」
(里仁第4-17)
人を注意・批判することは簡単
ですが、それを見て「さて、自分は
大丈夫だろうか?
できているだろうか?」と反省できる
人間はどのくらいいるでしょうか。
自分のためにも、常に自分の成長を
セットで考えたほうがよいのです。
「後生(こうせい)畏(おそ)るべし」
(子罕第9-23)
という言葉では、「若者はおそるべき
存在で、自分たちより優秀かも
しれないよ」と、年下の人間の可能性
を説いています。
「ダメなヤツ」「使えない」という
気持ちではなく、磨けば光る原石と
思い、育てていく気持ちが大事だと
いうことになります。
人を変えることはできません。
変えることができるのは、自分だけ
です。
『論語』では、徳のある仁者をめざす
ことを目標としましたが、「仁」、
つまり、思いやりや慈しみの心をもって
当たれば、人を動かすことはできます。
自分が変わり、人の心を動かすことが
重要なのだということに尽きます。
上司と合わない…と上司との人間関係
に悩む人もいるでしょう。
どんな点が合わないのでしょうか。
仕事をしない? 正当な評価をして
くれない?
それとも、部下の成果を自分のものに
する?
すべてにおいて完ぺきな人間が
いないように、すべてにおいて無能と
いう人間もいません。
何かしら、「長所」があるはずです。
「備わるを一人に求むること無かれ」
(微子第18-10)
といって「ひとりにすべての能力を
求めるな」と戒めていますが、上司に
対しては、「自分より能力が高いから、
上司なんだろう」と厳しく採点しがち
になっていませんか。
「其の位に在(あ)らざれば、其の政
(まつりごと)を謀(はか)らず」
(憲問第14-27)
という言葉もあるように、
そのポジションでないと見えないこと
もたくさんあります。
「親の心、子知らず」ともいいますが、
自分が親になってみないとわからない
こともあるように、立場によって視点
は大きく違ってくるのです。
人は、ひとりで生きていくことは
できません。
「こんな上司も部下も、もう限界!」
と思うかもしれませんが、どこに
行っても、いい人もいれば悪い人も
います。
逆にいえば、悪い人だけでもない
でしょう。
会社の制度まで変えていくのは難しく
ても、自分が変わり、少しずつでも
まわりの人間に影響を与えることは
できるかもしれません。
『論語』の内容は、実はとても
シンプルで、「思いやりの深い人間に
なろう」といっています。
「一(いつ)以(もっ)てこれを貫
(つらぬ)く」(衛霊公第15-3)
という言葉もありますが、名経営者や
名リーダーと呼ばれる人たちが『論語』
を愛読するのも、結局、人間ひとりに
できることはそんなに多くないと
知っているからなのではない
でしょうか。
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