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伝えるとは「私が伝える」ことなので、主体は“私”。
一方、伝わるとは「相手に伝わる」ことですから、主体は“相手”。
ことばとしては似ているものの、本質はまるで違うということです。
しかも、一生懸命に伝えようとすると、かえってわかりづらくなることがあるもの。
一生懸命に伝えること自体は悪いことではないものの、それだけでは相手に伝わる説明はできないということ。
説明の主体は自分ではなく相手なので、相手が理解できていないと意味がないわけです。
そして「伝わる説明」をするため、最初に心得ておきたいのは、なにかを説明する際、自分と相手の常識が一致していればスムーズに話が進むということ。
たとえば顧客に対する呼び方も、「お客さま」「お客さん」「お客」「お得意先」「顧客」「クライアント」などさまざま。
では、こちらが説明する相手はどのことばを使っているでしょうか?
重要な点はここで、つまり相手が「お得意先」ということばを使っているなら、同じことばを使って話をすることが大切だということ。
この場合でいうと、相手にとっては「お得意先」ということばが常識だという考え方になるわけです。
そのため、こうした場合は決して「クライアントにとって大事なことは…」などと説明を始めるべきではありません。
ふだん「お得意先」ということばを使っている相手は、「クライアント? ああ、お得意先のことね」というように、「クライアント」を自分にとって親しみやすい「お得意先」ということばに置き換えてから理解しなければならなくなるからです。
でも普段から使い慣れていることばで説明されれば、あいてはそれを違和感なく受け取ってくれるはず。
このように、自分の常識ではなく、相手の常識で説明することが、「伝わる説明」の第一歩になります。
参考書籍:『仕事のできる人が絶対やらない説明の仕方』
(車塚元章 著、日本実業出版社)
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