ビッグデータを宝の持ち腐れとしている過ちを考察する
・データ統合の問題を理解していない
企業でビッグデータの価値が制限されて
しまう第1の要因は、互換性と統合の
問題です。
ビッグデータの大きな特徴の1つは、
データソースの多様性です。
しかし、そのデータに互換性がない、
あるいは統合が難しいという状態
では、多様なソースがあっても実際の
コスト削減や顧客への価値創造には
つながりにくい。
対処法として、「データレイク」を
構築し、膨大な量の非構造化データ
を貯めておくことも可能です。
しかし、企業が今日入手できる広範
なデータのなかには非構造化データ
（文字の羅列など）も多くある、と
いう事実そのものがネックにも
なりえます。
バイナリデータと違い、それらを
構造的に保存するのが非常に難しい
からです。
したがって、データを異なるソース
間で統合するのもきわめて困難と
なります。
・非構造化データの限界を認識して
いない
ビッグデータに価値を発揮させる
うえで2つ目の問題は、その構造化
されていない性質にあります。
テキストベースのデータの
マイニングに関しては特別に
進歩しており、文脈解読などの
諸技術によって、構造化データと
同様の知見を引き出すことが
できます。
だが他の形式、たとえば動画データ
などの解析は、依然として容易では
ありません。
企業が非構造化データから最も成果を
上げているのは、
既存のデータ解析作業のスピードと
正確性を高めるために利用する場合です。
新たな仮説を得ようとして非構造化
データを用いると、往々にしてつまずく
ことになります。
すでにある問題への答えを向上させる
目的で、非構造化データを使う「練習」
を重ねて熟達することで、ようやく
成果につながるります。
・相関関係それ自体に何らかの意味が
あると思い込む
3つ目の問題は、
重複する観測データの巨大なプールの
なかで、因果関係を確立する難しさ
です。
これは企業でビッグデータの価値が
十分に発揮されない最たる要因です。
膨大なデータセットにはたいてい、
非常に似通った、あるいはほぼ同一
の観測データが多数含まれています。
これらが正しくない相関関係を
導いたり、結果としてマネジャーの
意思決定をミスリードしたりします。
ビッグデータを有効活用する能力とは、
「観測される相関関係をただ利用する」
だけでなく、「どの相関関係が原因と
結果のパターンを示すのか」を
正しく見極め、戦略的行動の基盤と
することです。
そして、これを実行するためには、
データだけに捕らわれない視座が
必要になります。
顧客行動を示す1ペタバイトもの
データがあっても、それを用いて
収益性を高めるのは難しい。
だが、偶然広告に遭遇した顧客と
そうでない顧客の行動を比べる、
という実験の結果によって、
マーケターは広告が収益に寄与
したかを判断できます。
ビッグデータの価値を高めるのは、
この「試して学ぶ」環境、
そこから得た知見に基づいて行動
する能力、そして、その知見が
一般化できるかどうかを知ること
です。
・人材の重要性を過小評価する
ビッグデータから価値ある知見を
導き出すための手法は、実験だけ
ではありません。
優れたアルゴリズムを構築する能力を
育むことも重要です。
より優れたアルゴリズムの構築に
必要なのは、優れたデータ
サイエンティストです。
大量のデータさえあれば知見を
導き出せる、という前提の下、
その背後にある因果関係を追跡
できる人材を雇わない企業は、
きっと落胆に終わります。
ビッグデータは、それ単体では価値を
発揮できません。
実験やアルゴリズムに適用するための、
マネジメント、エンジニアリング、
分析という3分野の能力と
組み合わせることでのみ、企業に
とって有益となります。
データ自体の価格と、データを処理
できる人材の確保に必要な金額を
比べれば、それはおのずと明らかです。
データ処理能力のほうが企業に価値を
もたらすうえで重要ということに
なります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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