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ロジカルシンキングの基本(第5回):組織による問題解決その1-目指す状態の共有

組織として問題解決を実践するうえで、 その主導者にまず求められるのが 「目指す状態を共有すること」、 そして「現状を“見える化”すること」 です。

「問題解決の思考プロセスが組織に 埋め込まれて」いれば、さらに実行力は 高まります。

【問題意識のすり合わせ】 「問題」は「あるべき姿」と「現状」の ギャップで あり、何を「あるべき姿」 とするかによって問題の認識は変わり ます。

「あるべき姿」とは、ビジョン、理想 状態など、 様々な表現をすることが できるが、重要なのは、 「目的(=何のためにそれを実現 するのか)」と「標準(=あるべき姿が 満たすべき要件)」という2つを明確に することです。 人は自分の行動に、「理由」を求める 動物です。

何のためにその仕事をするのかという 「目的」を納得しなければ、そこに 向けて本当に努力を しようとは しません。

「目的を納得する」のは簡単なこと ではありません。

じっくり時間をかけ、繰り返し、 その意味・意義を腹落ちさせていく プロセスが必要です。

自分が目的の実現にワクワクでき、 自分の言葉で具体的に説明できて はじめて、「目的が納得・共有できた」 と言えます。 20150614_blog2_autobid-thumb

【「標準」は体系性・具体性・ シンプルさを意識する】

さて、「目的」が共有できたとしても、 それだけでは「あるべき姿」を 共有したことにはなりません。

「目的」を実現するために、あるべき 成果や状態はどのようなものかを 具体的に認識・共有することが必要と なります。 これが「標準」です。

「標準」を定める際には、 「体系性」「具体性」「シンプルさ」の 3つがポイントです。 ひとつでも欠けると、組織において 実際に問題 解決に役立つものには なりません。

まず、「体系性(必要な要素の網羅)」。

一部の条件にのみ偏った標準を定める と必ず問題が起きてしまいます。

特にビジネスでは、「スピードと 品質」など実現すべき特性が相反する 場合も多くなります。

次に「具体性」。 現状を評価する「ものさし」として 各要素を機能させるためには、 なるべく具体的に定義され、人に よって解釈がブレない ものにする ことが重要です。

人によって解釈が最もブレないのは 「数値」です。

このため、標準を考える際には 出来る限り数値化することが望ましい と思います。

しかしここにはひとつ大きな落とし穴 があります。

「どうしたら具体的に共有し、現状を 評価することができるだろうか?」 という姿勢で考えるとよいと思います。

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最後に重要なのは「シンプルさ」です。 あまりに見るべき項目が多すぎる、 体系が複雑で理解しづらいものは、 それを意識して行動することが できません。

「標準」を明確に定義することは 難しい。 最初から完璧なものを作ろうと 力んでしまうと良いものはできません。

まずたたき台を作り、試しに現状を 評価してみる。 そして見直していくと良いと思います。

こうした標準の作成・チェックは一人 で行うのではなく、関係者に素案を 提示し、意見を出してもらいながら 一緒に作っていくとよいでしょう。

この標準策定プロセス自体が 「あるべき姿の共有」の最も有効な 手段とも言えます。

そして関係者の衆知を集め、 練り上げられた標準こそ、まさに 「組織の知恵の結晶」とも言える 価値を持つことになります。

続いて一旦作成した「標準」を、 常に進化させる対象として捉え、 改訂を繰り返していく。

ほとんど「標準」を満たし、 「問題がない」となったら、その 「問題がない」状態が「問題」と なるよう「標準」を高めていく。

このサイクルを繰り返すことが、 組織が「一見誰もができそうで、 実はできない」レベルの 競争優位性を持つことにつながって いきます。 次回は、「現状を“見える化” すること」、そして、「問題解決の 思考プロセスを組織に埋め込むこと」 について考察します。