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ロジカルシンキングの基本(第4回):「どこ(=Where)」が問題かを効率的に特定する

前回は、「What→Where→Why→Howの 順番で考える」 という問題解決のプロセスにおける 「どこが問題かを特定する(=Where)」 ステップの重要性について述べたので、 今回は、どこ(=Where)を、効率的 かつ効果的に特定する方法を考察 します。

【思考のモードをスピーディーに 切り換える】 「どこ?」を特定する思考のゴールは、 「問題があるところ」と 「問題がないところ」を 明確に二分する、つまり、 問題を一網打尽にすること。

最初の段階は、「準備作業」。 ここでは「問題の全体像と傾向を把握 する」ことがゴールになります。 ポイントは、「時間をかけず、 たくさん切っては捨てていく」こと。 できるだけ多くの種類の異なる 切り口を用いて、どんどん状況を 切ってみる。 そして問題の偏在状況をザクッと 把握することに注力します。

「捨てる」といってもその切り口で 状況を見たことはムダでは ありません。

「この切り口だけでは問題が 特定できない」ということが確認 できることに最大の意味があります。 この作業に時間をかけないためには、 多面的な切り口をたくさん、早く 考えつくことが必要です。

そのためには、「切り口の切り口」とも 言えるパターンを押さえておくと よいと考えます。

状況を切り分け、そこから傾向を 読み取るには、表やグラフなどを 使って視覚的に見てみるのも 効果的です。

さっと視覚化し、眺めて傾向を 読み取るほうが、かえって問題箇所 が浮かび上がってくることは多い と思います。

その際、忘れてはいけないのは、 行った分析から 必ず一言の「そこから言えること」 をメッセージにして書き出しておく ことです。

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【仮説を持って粘り強く切り口を作り ながら本質に迫る】 ここでの目的は 「問題を一網打尽にする」こと、 もしくは 「問題の種類を峻別する」こと。

「問題があるところ」と 「問題がないところ」に、 明確に二分されること。

もしくは、 「問題の種類を峻別する」 ことを目指します。

複雑な問題の場合、一つの原因だけ ではなく、複数の原因があり、 それがそれぞれ別の問題を生み出して いるのだが、表面的には全てが混在 しており、明確には切り分けられない ケースが多くあります。

ここでは、粘り強く、丁寧に考える ことがポイントとなります。

特に重要なのは、 「仮説を持って切り口を作る」こと。

物事の裏側に、どういったメカニズム があるかを考え、事象の関係を 紐解いていきます。

先の準備作業において見えてきた イメージ、言い換えれば、それぞれの 分析から出てきたメッセージを並べ、 裏に隠れた傾向やメカニズムを 考えます。

そのためにはまず 、「いくつかの切り口を組み合わせて 関係を見る」ことを意識すると いいと思います。

単純な切り口だけではなく、特異点 (全体傾向から外れていて、特に 目立つ部分)や変節点 (傾向が分かれるポイント)に 着目し、そこから何らかの特徴を 推定し、それが「ある」か「ない」 かによって問題を一網打尽にできる ことが多くあります。 それぞれのグループに含まれている 要素を見比べ、共通点は何か?を 粘り強く考えていけば、導き出せます。

つまり、帰納的な思考を意識する ことが効果的に働きます。

こうしてグルーピングしたものから 帰納的に導かれる仮説を立て、さらに その妥当性を検証していきます。

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【プロセスでさらに原因の出発点を 絞り込む】 次に、「プロセスによる分解」です。

プロセスとは例えば、 「商品の開発プロセス」 「製品の生産プロセス」 「顧客の購買プロセス」 「社内での意思決定のプロセス」 などのこと。

問題がある場合、その結果には必ず、 そこに至る流れがあります。

その流れを押さえて 「プロセスのどの段階で先に 進まないのか」を特定できると、 問題箇所が一気に絞り込め、そこに 紐づく原因を劇的に減らすことが できます。 問題箇所が絞り込まれない段階で プロセスを考えると混乱します。

このためプロセスを考える前に 問題箇所を絞り込んでおくことが 重要です。

「多数の視点からの全体像の 把握」→「仮説に基づく絞込み& プロセスによる発生箇所の特定」 という流れで、 「どこ?」を徹底的に絞り込むこと が問題解決の重要なポイントです。

次回は、「What→Where→Why→Howの 順番で考える」問題解決のプロセスを、 組織文化と して落とし込む際の 留意点などについて考察します。