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ロジカルシンキングの基本(第3回):「なぜ(Why)」の前に 「どこ(Where)」を特定

今回は、「どこが問題かを特定する (=Where)」ステップについて、 具体的に考察していきます。

皆さんは、「なぜを5回繰り返せ」と いう言葉をご存じでしょうか。 問題解決手法に興味を持たれた方 なら、一度は耳にしたことがあると 思います。

トヨタ生産方式の祖、大野耐一氏の 名言です。 問題の表面だけを見るのではなく、 なぜ問題が起きているのかを、 粘り強く、深く考えろ、と いう意味です。 様々な事象の背後に隠れた真の 原因を明らかにすることは極めて 重要なことであり、その意味では 「なぜを5回」は問題解決において 必須の思考姿勢です。

しかし同時に、これは極めて難易度が 高いプロセスであることを肝に銘じる 必要があります。

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【「なぜ?」からのアプローチが 問題解決を失敗に導くワケ】 ここでよく陥りがちな状況の一つは、 たまたま目についた原因に飛びついて しまうことです。 たとえば調査を始めて最初に インタビューした2人が 「上司との関係に問題がある」と 答えたとする。 そうすると、 「上司に問題があるらしい」 と考えてしまうのです。

このような形で思考を進めていくと、 一見、分析の流れは出来ているので、 自分も他人もその間違いに気づき にくい。

しかし実行してみると、手を打つ べきところが誤っているために 問題が解決しないという結果に 終わりがちです。

陥りがちな状況のもう一つは、 考えうる原因があまりに たくさん出てきて整理がつかなく なるということです。 この状況が示す問題点の一つは 、「網羅性をチェックすること が難しい」ということです。

加えて、「原因相互の関係を把握 することが難しい」ことです。

また、「原因は一つではなく、 複雑に絡み合っていることが多い」 ことも問題を複雑にしてしまう。

ビジネスなど社会現象の場合、 ある原因が単独で結果を生むことは 稀であり、複数の原因が絡み合って 結果を生じます。

さらに、これらの問題を乗り越え、 ある程度までは原因を洗い出し、 また相互の関係を把握できたと しても、その次には 「それら原因の中でどこが強く結果に 影響を与えているのかを判断する ことが難しい」と いう壁が立ちはだかります。

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【「どこ?」からのアプローチで 原因の所在を絞り込め】 「なぜ?」という因果関係の把握は 重要ではあるものの極めて難易度が 高いということはご理解いただけた と思います。 ではどうすれば良いのでしょうか。

その秘訣が「なぜを5回」を始める 前段階にある「どこ(=Where)」を 明確にするステップなのです。

限りなく出てくる原因のカオスに 入り込む前に、考えるべきことを 絞り込み、「なぜ?」との格闘を少なく する。

「なぜ?」の前に「どこ?」を徹底する メリットは大きい。

まず網羅性のチェックが「なぜ?」に 比べて格段に容易であることです。

一つ一つの分解・チェックが容易と いうことは、数多くの視点でチェック して見落としを減らすことができると いうことでもあります。

「どこが問題か?」を明確にする ことから始めるのは、組織における 問題解決や コミュニケーション面 でも意義が大きい。

前述のとおり、「どうする」 「なぜ?」の議論は「なぜそこなのか? の判別・判断が難しいため、 このレベルで議論をしていても 結論が出ないことが多い。

このように「なぜ?」の前に 「どこ?」を考え、問題箇所を 絞り込むことは、まさに問題解決の ポイントであるが、なかなか上手く できる人は少ないと思われます。

次回は、どうしたら「どこ?」を 効率的・効果的に考えることが できるのだろうかを考察します。