ロジカルシンキングの基本(第6回):組織による問題解決その2-インフラ
【「現状」がスピーディに「見える」 インフラをつくる】 あるべき姿を具体化し、共有できた としても、 「現実がどうなっているのか?」を スピーディかつ正確に把握できな ければ、問題の発見、問題箇所の特定 には結びつきません。
そして現状認識を組織内に正しく共有 できなれば、 「それは確かに問題だ」 と納得してもらうことは難しくなります。
「現状を“見える化”すること」が 必須です。
そこでまず、「情報・データの蓄積」。
常日頃からメカニズムを意識し、 ブレイクダウンしやすい形で把握、蓄積 していくことが重要です。 これは多くのビジネス上の問題が 、「最終成果→成果を構成する要素や プロセス→それらを生み出す活動→ その活動を支える資源」といった 「Output→Input(Output)→Input」 という関係の連鎖で捉えることが できるからです。 こうした視点で重要な指標を選び出し、 基本となるデータが蓄積・利用可能な 状態にあれば、問題の発見・特定の スピードが格段に速くなります。
そして、「感度のよい切り口の 保存」。 基本となる成果量や活動量を押さえる と同時に、ある問題について分析した 際に、「問題のある/なしが峻別 できた感度のよい切り口」を保存し、 その切り口での集計・分析を定例的な 記録・報告に織り込んでいくとよいと 思います。
ある問題の発見につながった切り口・ 指標は、そのビジネスの パフォーマンスを図るうえで、 キーとなる視点であることが多いです。
感度のよい切り口を見つけるのは 難易度が高いものであるため、一度、 見つけた切り口をその後も活用しない のは勿体ないことです。
このように蓄積・洗練された切り口を、 組織における重要な視点として共有 することを考えると良いと思います。
特に変化が激しい業界、成長著しい 企業などでは、こうしたベースと なるデータの蓄積自体が後手に廻る ことが多いです。
まずはできるところから基礎データを 蓄積し、感度のよい視点に絞り込んで 継続的に現状を見ていくことを 意識する。
一方で、長期にわたって変化が少ない 業界、一定以上の規模の企業など では、データは山ほどあるものの、 データ集計や報告書作成自体が 目的化し、見る視点が硬直化して、 問題発見、問題箇所特定にはつながら ないまま膨大なエネルギーが割かれて います。 「何を見るためにそのデータを収集 しているのか?」「そこから本来 明らかにすべきことは何なのか?」を 見直していくことが重要になります。
次回は、組織全体に問題解決の思考 プロセスを埋め込むことについて 考察します。