愉快な人生を生きるために~知識を知恵に~

経営や仕事への取り組み・社会心理学・生活の智慧に関する考え方、思い、提言をお伝えします

もう一度、世界が日本に学ぶ日が来るか?

どうすれば儲ける力がつくのか。 正解があるわけではなく、 それぞれが考え抜いて、試しては 修正するというサイクルを繰り返し、 答えを探し続けるしかありません。

ただ、日本企業の強みが生かし やすい方法とそうでない方法がある のは確かです。

インサイド・モデルの一例として、 ファスナー界の巨人YKKも代表的な 成功例の1つです。

世界シェア約5割を誇るYKKの ファスナーは、自動車、建材、 工業機器、洋服、バッグなど、 さまざまな製品に使われています。 顧客の顔ぶれも、一流自動車 メーカーからルイ・ヴィトンなど のトップブランド、新興国の アパレルメーカーまで実に 多様です。

当然ながら求められる機能や品質、 価格もまちまちです。

YKKはこれらの多様なニーズに 応えるために、世界71カ国に 拠点を置いています。

ワン・トゥ・ワンで顧客の声を 聞き、顧客のそばでつくって売る ためです。 その一方で、コア技術の開発や 品質改善は富山県黒部市にある 拠点が一手に引き受けて、 ブラックボックス化することで 技術流出を防いでいます。 エンドユーザーはYKKの ファスナーが使われているか どうかで自動車や洋服を選ぶ わけではありませんが、 結果として耐久性やスムーズな 開閉といった品質を享受 できます。

自分たちが前面に出るわけでは ないけれど、いろいろなものに 使われてその価値の一翼を担う。 いわば黒子に徹しているところが、 きわめて日本的です。

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マイクロソフトのように標準の座を 奪取して、競合を蹴散らして一人 勝ちする。

こうしたプラットフォーム・ ビジネスに見られるやり方は、 日本企業が不得手とするところです。

一人勝ちしたプラットフォーマーは 確かに一時は隆盛を極めることが できますが、必ず反対勢力が生まれて いつか倒されます。

その点、黒子に徹していれば憎まれる こともありません。

さまざまな相手に寄り添い、取り込んで もらうインサイド・モデルは、プラット フォーム戦略に比べれば華々しさには 欠けるものの、日本企業らしい ビジネスモデルといえます。

そしてその結果、利便性や快適性を 引き上げるのに貢献し、世界を少しでも 豊かにすることができれば、 社会的価値と経済価値が真に両立する 日本発CSVが実現すると思います。 20150622_blog3_CSV83g838983C83A839383O838B

CSVは日本企業のなかに確実に存在 しています。

アメリカで生まれて エドワード・デミング博士によって 日本にもたらされたTQCが、日本で 根づいて世界を席巻したように、 CSVも日本で進化して世界に通用する モデルに育つ可能性を持っています。

地球全体の持続可能性 (サステイナビリティ)が深刻な 課題として再浮上している21世紀に おいて、もう一度、世界が尊敬し、 学びたいと願う日本になるために、 社会との調和を基軸に 据えた日本らしいCSVを追い求めて いく必要があると思います。