「○円以上で送料無料」の原理
タイムセールなどで「焦って買ってしまう」と
いう現象は、脳内でセロトニンが不足した
状態をわかりやすく説明できるケースです。
まず「制限時間がある」という状態が引き起
こすストレス応答によってセロトニンが
分泌されにくくなると、不安を感じやすい
精神状態になる。
同時に興奮性のホルモンを抑制する働きが
鈍るため、アドレナリンやノルアドレナ
リンが過剰に分泌され、心身が戦闘モード
に入りやすくなる。
いわば「やる気満々」の体勢になるので、
「買う」という決断のスイッチもオンになり
やすくなるということです。
さて、「損をしたくない」という“焦り”を、
脳はどのように感じるのでしょうか?
このことに関連して、ドイツのボン大学の
研究グループが行った実験が紹介されて
います。
2名でペアになった被験者に、簡単な知覚
テストをやってもらうというもの。
画面に「たくさんの点」と「数字」が順番に
現れ、点の数が数字よりも多いか少ないか
をボタンを押して答え、正解すれば被験者
は報酬がもらえるのだそうです。
この実験においてもっとも重要なのは、
両者ともに正解だったとき。
2人が正解のボタンを押すと一種のボーナス
が発生し、コンピュータが30~120ユーロの
金額を2人にランダムに分配するというのです。
つまり、どちらにいくら支払われるかは、
もらってみないとわからないわけです。
実験に参加した19組の被験者の脳内で、
テスト中にどんな変化が起きたのかを調べた
結果、脳の報酬系がもっとも強く活性化する
「ある条件」が浮かび上がってきたのだといい
ます。
それは、両者正解で支払われるボーナスの
配分によって引き起こされる状態。
脳の報酬系が活性化したのは、「自分の報酬
が相手の報酬よりも多い」ときで、なおかつ
「両者の差が大きく開いている」ときだった
とのこと。
このロジックで考察した場合、「○円で送料
無料」というサービスも、脳が判断するとき
の傾向をうまく利用した仕掛けだと説明でき
ます。
みんながその権利を使っているのに、自分
だけ権利を行使できずに送料を払うのは、
受け入れがたい損であるはず。
追加の買い物をしてまで送料を無料にした
がる判断は、数百円という送料の金額の
問題ではなく、「自分だけ損をする」ことへ
の“怯え”から生じていると解釈できます。
参考書籍:『ブラックマーケティング 賢い
人でも、脳は簡単にだまされる』
(中野信子、鳥山正博 著、KADOKAWA)
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