愉快な人生を生きるために~知識を知恵に~

経営や仕事への取り組み・社会心理学・生活の智慧に関する考え方、思い、提言をお伝えします

価値を生み出す現場と、価値を受け取られる現場は違う

企業で会社員として働いていると、 自分の給料が何の対価として支払われて いるのかが分かりにくくなります。

本来は、生み出した価値として 受け取っていると頭では分かって いても、実際は価値を生み出す瞬間を 実感できることがあまりありません。

営業職の人なら、受注が決まった 瞬間に、価値を生み出した実感は もてるでしょう。

販売の仕事も同様に、 「これをください」と言ってもらった 時など、仕事をした感が生まれます。

顧客と前面に向き合う仕事は、企業 という組織では少なく、企画や開発、 スタッフ系の仕事をしている方は、 この「仕事をした感」が持ちにくい と思われます。 価値の創出と、価値の受益が時間的 にも物理的にも離れてしまうと、 「仕事で価値を出す」という実感が 得られにくいのではないでしょうか。

これが、仕事の対価についての 妥当性にも実感がもてなくなる理由 にもなっています。

自分の給料が自分が生み出した価値 に相応しいかと問われると、まったく 信憑性はありません。 会社での給料の多くは、年齢や職歴、 そして役職などで「相対的に」 決まります。

仮に「絶対的な」評価としていまの 2倍もらっていいはずだと言われても 「そうか」と思えないし、いまの半分 の給料が妥当だと言われれば 「そんなもんかな」とも思えてしまう ほど、対価との関連も、とても あやふやな感覚です。

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仕事をしている実感に関して、 日常的なやっかいな問題もあります。

それは、夜中まで仕事をしたり、 出張したり、あるいはイベントを やり終えたりすると、不思議と 「仕事した感」があることです。

これらは一つの仕事として見ると 決して、価値を生み出しているか どうか関係ありません。

夜中まで仕事をするのは、効率が 悪いか、ミスをしてやり直しなのか、 ある種のトラブルがあった 「不測の事態」であり、効率的に 仕事を進んでいる状況ではありません。

出張も移動に多くの時間を取られ、 実質的な仕事時間はわずかです。

その日だけ見ると、実に効率の悪い 一日ですが、なぜだか出張から戻ると 一仕事終えた感があります。

イベントなどはそれが販促目的で、 それ自体は利益を生まないもので あっても、準備からやることは多く、 緊張感をもった本番が終わると、 妙な達成感があります。

この手の「仕事をした感」は、 実際の仕事の効果や効率とは無関係 なのが、とても厄介です。

この実感の得られなさを克服する のは、想像力しかありません。 物理的にも時間的にも価値を提供する 場面が離れていても、その現場を 想像する。

企画書一枚書く仕事でも、それが誰に どのような価値を生み出すことに つながっているかを想像する。 地道な作業の繰り返しも10年後の 見知らぬ人が喜んでくれる姿を想像 する。

このような想像力によって、仕事を している実感を得やすくなるばかり でなく、一つひとつの仕事の質が 上がるでしょう。

そして、組織内でこの想像力の 連鎖ができあがると、事業の生み出す 価値は必ず高まると思います。