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第四次産業革命が起こすためのインダストリー4.0との関係性

インダストリー4.0が産業にとって どのような収支メリットがあるかを 考察してみます。

これから5~10年という幅の中で 顕在化しそうなメリットは、まず ドイツの製造業のトータル生産 コストの5~8%に当たる約12兆円 から約20兆円のコスト低減。

そして、ドイツの総生産額の1~2% に相当する約2兆6000億円から 約5兆2000億円の売り上げ拡大が 想定されています。 (ボストンコンサルティング グループ調査による)

コスト削減の大部分は、自動車、 食品・飲料、そして機械関連の業界 における加工費用の減少から もたらされます。

いわゆるマスカスタマイゼーション、 すなわち顧客の要望に応じた 多品種少量生産を低コストで 行うことが可能になります。

売り上げ拡大の方は、自動車、食品・ 飲料業界に加えて、 ファクトリーオートメーション業界など の機械関連業界からのものが大きい。

インダストリー4.0が、製造現場の 生産性改革を大きな狙いの 1つとしているのだから、当然かも しれません。

これらの分析から、やはり 「第4の産業革命」とはやされるような ジャンプ感が感じられません。

インダストリー4.0がデータ アナリティクスやロボティクスの 進化を通じて、産業革命に匹敵する インパクトをもたらすとは思えません。

 

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時間軸と技術変革の屈曲点から考えて みると

これから5~10年という時間軸で見ると、 インダストリー4.0ないし ICT(情報通信技術)革命は、 既に知られた手法をより一層磨き 上げていく 「カイゼン」型でのインパクト創出が 中心となると考えられます。

「革命」というところには至らず、 世界経済の成長トレンドを変えて しまうような大変革をもたらすわけ ではない。

各企業が地道に新しい手法を 取り入れ、これまでの「カイゼン」を、 ICTを活用した次のパラダイムで 実行できるプレーヤーが勝つ、と いうこといなります。

一方、夢物語として語られてきた 「産業革命」的な変革です。

これは、恐らく半導体、AI (人工知能)などに関する基礎技術が、 次のパラダイムに移行し、それが 掛け算されてメリットを生む時期 以降に起こることなのかも しれません。

ディープラーニングDeep Learning)」と呼ばれる 人間のニューロ(神経)のネットワーク を参考にした技術の進化が、AIの レベル感をこれまで とは違うパラダイムに持ち上げる時期、 あるいは通信ネットワークに 関する技術が一挙にステップ アップする時期です。

これらは相互に影響する部分も大きく、 個人的な期待感も込めていえば、 2020年代から30年代前半までの間 に、全く違った世界が現れる のではないかと考えられます。

このタイミングが、本当の意味での 「IoT産業革命」が世界経済の 生産性を大幅に上げ始める時期なの かもしれません。

これに匹敵、ないし上回るような インパクトが、インダストリー4.0 ブームの先に起こり得る、ただし、 その時期はまだかなり先、という ふうにとらえています。

そして、当面は、着実な「カイゼン」 型のメリットを実現することと、 将来のパラダイム変化に備えて おくこと。

これが、インダストリー4.0ブーム に不要に踊らされることなく、 かつ将来を見つめていくスタンス だと思っています。