トヨタ生産方式の適用:カイゼンで、仕事はもっと楽になる(その2)
前回は、カイゼンの目的と最初の手順 について紹介しました。
今回は、トヨタがあぶり出す7つのムダ についてまとめます。
・問題発見の視点1:7つのムダ ① 手待ちのムダ 必要な仕事に進めず、一時的にやる ことがない状態。 オフィスでは、次項目の「加工のムダ」 と並んで、非常に多くみられるムダです。
改善のポイントは、各業務に必要な リードタイムを意識して、仕事を進め ること。 たとえば、ある資料の作成のために 別部署に調査を依頼するケース。
ここでは、情報がほしいタイミング から調査に必要な時間を逆算した タイミングで、仕事を依頼すると 効果的です。
あるいは、細切れの時間が発生した ときのために、5分ならこの仕事、 20分ならこの仕事など、事前に 仕事を決めておくと、細かい時間も 有効に使うことができます。
② 加工のムダ 本来の仕事の完成度とは関係の ない部分に、時間やパワーを注ぐこと。
具体的には、社内の限られた人しか 参加しない会議資料を凝った作りに することなどです。
改善のポイントは、業務の目的を 明確にして、何が重視されるのかを 見極めること。 スピードなのか内容なのか、内容でも 項目なのかビジュアルなのか。 たとえば先ほどの会議資料の例で あれば、社内向けであれば討議項目が 事前に箇条書きで整理されていれば 十分です。
一方で、同じ資料でも社外コンペで あれば、事情は一変します。
内容に加えてビジュアルにもパワーを 注ぐことで、受注可能性が高まる、 つまり、達成度が大きく変わってくる のです。
③ 運搬のムダ これは、付加価値を生まない歩行・ 物の運搬・情報の流れのこと。
このムダは状況を見える化してみる ことで現状を把握しやすく、比較的 改善がしやすい内容です。 自分で物の配置を工夫できるので あれば、物の配置自体を変えるのも 一手です。
④ 在庫のムダ 不要な備品・書類・データを持つこと。 在庫のムダは、必要なものを探す ムダや間違える ムダ、あるいは、 保管・管理のための余分な工数 ・コストなど、多くのムダの原因 となります。
改善方法は、自分自身にとって本当に 必要な物は何かを明確にし、それ以外の 物は捨てること。 これは5Sにおける「整理」を行うことで 大幅に改善が可能です。
⑤ 動作のムダ 付加価値を生まない動き。 たとえば、皆さんが右利きで、机や キャビネットの左側に文具を保管 している場合。
取り出す際には体をひねるなど、動作の ムダが生まれているはずです。 前項目の在庫のムダは「整理」で 改善しますが、こちらは「整頓」で 改善が可能です。
⑥ 作りすぎのムダ 必要以上に多く作ったり、必要な タイミングよりも早く作ること。
発注の手間やまとめ買いでのお得感 から、あまり使わない備品を大量に 発注することもこのムダに当たり ます。
改善のポイントは、求められる対象・ ボリューム・頻度をその都度、 確認すること。 ⑦ 不良・手直しのムダ 廃棄が必要なものや、不良品や手直し が必要な仕事をすること。 これは前回ご紹介した 「品質は工程で作り込む」 に通じるもので、関係者にも悪影響を 与えるものです。
特に、同じミスを何度も繰り返す 場合には、表面的な対策しか とられてないケースがほとんどです。
次回は、作業の違和感、ムリ・ムラに ついてまとめてみます。