自分のために生きることが人のためにもなる
・成功が成功を破壊する?!
道教の開祖として知られる老子の
「大者宣為下」という言葉があります。
これは直訳すると、「強大なものこそ
下へ下へとへりくだることが大事である」
という意味。
つまり「強い力を持った者こそ、謙虚
であるべし」ということです。
なぜ強い力を持った者自身が謙虚で
ある必要があるのかといえば、
それは「強い力を持った者自身が
成功を破壊する存在」だから。
強い力を持った者のなかで、バランスを
とろうとする力が働くからなのだ
そうです。
成功すればそのぶんだけ、その成功を
破壊する力も強くなるということ。
そして大きな目標であればあるほど、
「影」の部分も大きくなり、破壊する
力は強くなるのだといいます。
たとえば成功すればするほど、自惚れ
たり、まわりを見下して天狗になって
しまいがちです。
しかし著者は、それではもったいない
と記しています。
なぜなら、成功したうえで謙虚で
いれば、多くの人がそれを称賛し、
さらなる成功をも引き寄せることが
できるかもしれないのだからという
ことです。
ただ「成功すること」だけに目線を
向けていたのでは、決して本当の成功
とはいえません。
その成功の表面にある影にも目を向け、
対処していかなければいけないという
考え方。
いわば著者が伝えようとしているのは、
自分の成功に対して「短絡的に楽観視
しているだけだと痛い目を見るよ」
ということ。
自身の意識下で「いばる自分」を
認識し、自力で抑えることができない
と、成功してもすぐ成功を壊して
しまうというわけです。
生きている限り、戦わざるを得ない
状況は誰にでもあるものです。
しかし、そんな人に対して老子は、
「正面衝突ではなく、その逆の手を
使って戦うのが良し」という教えを
説いているのだそうです。
似たような言葉を、孫子も残している
のだそうです。
それは、「始如処女、後加脱兎
(はじめは処女の如く、後は脱兎の
如し)」というもの。
つまり、「戦いの始まりは弱々しく
見せて、相手を油断させておく。
そして戦いの勝敗を左右する場面に
なったら、素早く攻勢に出て、
一気にたたみかける。
それが戦いの基本だ」という意味。
だからこそ、戦わざるを得ない状況を
出くわした際には、この教えを実践
してみるといいと思います。
・本当に強い者は争わない
老子の「上善若水」という有名な言葉の
意味は端的にいえば「水こそ最強」
ということ。
老子は水に「最上の善」という意味を
つけていたのだそうです。
つまり、争いを避けて生きようという
提案。
老子が生きていたのは、国同士の争い
ばかりで、戦で利を得ようという
生き方が一般的だった時代です。
「人を蹴落としてでも上を目指そう」
という考えが当たり前のものだったと
いうことです。
老子はそんな時代にあえて、
「水のように人と争わず、常に低いと
こ露に止まりなさい」と、生き方の
見本として”水”を挙げたわけです。
当然ながら、水は原則として上流から
下流に、上から下に落ちるものです。
そして下へ下へと移動し、やがて広大
な海につながります。
なお、アドラーの「競争しない」と
いう教えも、これと同じ意味にあたる
のだとか。
「競争から降りて生きる」というと、
負けを認めるような気がする方も
いるかもしれません。
しかし、ここには重要なポイントが
あるといいます。
考えてみるべきは、「水が流れている
ところに石を落としたらどうなるか?」
ということ。
いうまでもなく、水は石を避けて
流れます。
いってみれば「石と戦うぞ!」と石を
動かそうとするのではなく、
「他の場所を通ります」と、決して
争うことをしないわけです。
しかしそうでありながら、水は少し
ずつ土や石を動かして削っていき、
いずれ穴を開けてしまうこともある
ものです。
争うことを避けながらも、実は
それだけの力を持っているわけです。
実体があるもののなかで、
「なによりも柔らかいのに、なにより
も強い」水のように、「争うことなく
低いところに止まる」ことが、
なによりも素晴らしい生き方だと
いう考え方です。
「自利利他」とは、言葉どおり
「2つで1つ」だということ。
天台宗の最澄は、「自利とは利他を
言う」といっているそうです。
つまり「他人の利益のために努力
すれば、それはいずれ自分にも返って
くる。だから利他を積極的にしましょう」
ということ。
アドラーの言葉でいえば、「他者貢献」
がこれに相当するもの。
だからこそ、無理に他者のために
生きる必要はないと著者は主張します。
なぜなら、自分のためにやることが、
他人のためになるからです。
自利だと思っていたことが、実は利他。
誰かのためにやるのではなく、
ただ自分の感情を満たすためにやる。
しかし、それは自然と利他につながる。
これこそが、無理に他人のために
がんばる必要などないという考え方の
証拠であると思います。
参考文献:世界一受けたい心理学×哲学の授業
嶋田 将也 (著) ワニブックス(刊)
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